難治性の慢性咳嗽と
咳過敏症症候群(CHS)

難治性慢性咳1)

「難治性慢性咳嗽」は、咳の原因疾患を十分に探索して治療を行っても咳が続く状態を指し、治療抵抗性慢性咳嗽(RCC)と原因不明慢性咳嗽(UCC)に分類されます。

咳過敏症症候群(CHS1)~4)

CHSは難治性慢性咳嗽を説明する概念であり、気道知覚神経の過敏状態や中枢神経の機能異常が主な要因とされます。
冷気、乾燥した空気、香り、会話などの通常は咳を生じない軽微な刺激により生じる喉のイガイガ感、urge-to-coughに続いて咳が出るallotussia(軽微な刺激で咳が生じる状態)は咳過敏状態の存在を示唆するとされ、RCC/UCC患者のほぼ全例が喉頭感覚異常、発声異常、上気道性呼吸困難などの喉頭過敏症状を有しています。

慢性咳嗽患者の41.8%が咳過敏症状を有しており、高齢(60歳以上)と合わせて咳嗽の持続に関わる予測因子であることが報告されまし5)

咳嗽の慢性化・難治化の悪化サイク1)

CHSは、咳嗽が出現することでさらに亢進し、咳嗽の慢性化や難治化という咳嗽の悪性サイクルに陥ることがあります。サイクルを断ち切るために、CHSを念頭に置いた治療が重要です。

文献

  • 日本呼吸器学会.咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版 2025. メディカルレビュー社.
  • Sundar KM, et al. ERJ Open Res. 2021; 7(1): 00793-2020.
  • Morice AH, et al. Lung. 2021; 199(2): 121-9.【利益相反】本研究は、MSD社の支援により実施された
  • Won HK, et al. Allergy Asthma Immunol Res. 2019; 11(5): 622-31.
  • Kim Y, et al. ERJ Open Res. 2025; 11(4):01357-2024.【利益相反】本研究はMSD社の支援により実施された